HERBA-S

雑多な記録、ブロメリア/多肉/水辺草/雑草/野草

Tillandsia berracoensis

Tillandsia berracoensis 

リーフスパン40㎝高さ30㎝ぐらい。葉は革質で硬く多肉質というほどでもないが分厚い。葉幅の広いfascicultaという第一印象。

 

(由来について)

近頃はTillandsiaを扱っていたことがすっかり昔話になってしまった感のあるKohresがリリースしていたようです。この株も2017年にKohresから輸入された株でCuba Alt.800mというざっくりとしたロカリティがついています。

そしてこの berracoensis、おそらく有効な種小名ではなくKohresのリストでのみ使用されているようでそれ以外に有用な情報は検索に引っ掛かりません笑。

 

Germany Kohres 2000.pdf

↑2000年のKoehresのリスト。ちなみにberracoensisはこの当時45€。

 

まだ得体が知れないので種小名に含まれるberraco-ensis、キューバにそのような場所があるのか確認すると、BerracoではなくVerracoという地域がキューバ南東にありました。恐らくスペルミスでVerracoではなくBerracoとなったのかもしれません。(Verracoの町から10㎞ほど北上すると標高が800m付近となり更に北にはグランピエドラ国立公園の山域が広がっています。)

↑ピンがVerracoの町の位置。↓付近のロケーション。

 

ではTillandsia verracoensisが正しい表記かと思いきや、そのような学名は記載されておらずberracoensisと同様に調べても情報は皆無です。

 

↑枯れた花序。残念ながら花色は不明。どことなくfasciculataっぽい。

Tillandsia berracoensisの正体?)

まるで情報のないTillandsia berracoensis。憶測の域を出ませんが現状最も正体に近いものとして Tillandsia 'Verraco' BCR Bromeliad Cultivar Register> (bsi.org) と関係が深そうです。←詳細はリンク先を読んでいただければ。

 

’Verraco’は2009年にfasciculataが片親のNatural Hybridとして扱われているなにか。として登録されていますがその委細を読んでみると形態的特徴にberracoensisと重なる点があり、自生地もCuba, between Daiquiri and Guatanamo, leg Lydia and Gerhard Kohresとされています。自生地が前述のVerracoからほど近い標高800m前後のエリアと重なる上にLydiaのところにあった似ている株となれば全くの無関係と考えるのは難しいのではないでしょうか。

 

ここからはほぼ妄想ですが恐らくはLydia夫妻がキューバのVerraco付近で採集した野生株が便宜上berracoensis (verracoensis?)として販売され、私の手元に転がってきていて≒Tillandsia ’Verraco’の可能性もあるのでは。と考えています。

 

ただ、'Verraco’は画像を見てわかる通り、赤い色素が目立ちますが手元にあるberracoensisはあまり赤くないのでどうにも現物を比較せずには同じものだろうとも言えないのが正直なところです笑。そもそもLydiaが当該エリアで採集した株がひとつとは限らず、また別の未記載種、自然雑種である可能性もあります。

 

 

認知されず気を抜くと消えゆく株のひとつのような気がしたため、取り急ぎ雑な記事を書いてみました。何か関連のある情報を持っている方がいらっしゃればご教示いただければ嬉しい限りです。

 

Labeled/Tillandsia berracoensis ex. Koehres imported 2017 Cuba, 800m near Verraco?